【記事執筆者:心理カウンセラー畠山ユキ子】
一般社団法人全国心理技能振興会
認定心理カウンセラー:2011年から4700件以上(2022年現在)のカウンセリングを実施
愛着障害、毒親、機能不全家族から生じる生きづらさ
依存問題(恋愛依存、回避依存、共依存)や心の傷やトラウマ、親子問題や恋愛関係などの人間関係のご相談を現在も受けています。過去にはマスメディア出演等の活動経験も有り。>>相談できるカウンセラーのプロフィールはこちら
【目次】
1.インナーチャイルドとは?
2.恋愛依存症の回復には、何故インナーチャイルドの癒しが役立つのか?
3.インナーチャイルドを放置すると、現在の人生にどのように影響するのか?
4.インナーチャイルドからの発信サインとは
5.依存的な恋愛をやめるには、何から取り組めば良いのか?
6.恋愛依存症とインナーチャイルドの影響をもっと詳しく知りたい方へ
※当サイトの内容は、実際にカウンセリングに取り組む「心の専門家」が書いている内容になっています。
インナーチャイルドとは
大人の自分の中にいる、子供の自分のことを言いますが、具体的には「子供時代の記憶の傷・感情」のことを指します。
記憶の傷ですから「ネガティブな感情」を抱えた子供の自分という意味合いになります。
人間ですから無傷で成長することの方が難しいので、誰しも多かれ少なかれ、記憶の傷は持っているものだったりしますが、日本人の場合全体の約90%の方がインナーチャイルドを抱えているとも言われています。
決して特殊な話ではないのですが・・・
傷ついた感情体験や満たしきれなかった思いが多い方ほど、成人以降の社会生活や人間関係、恋愛などの人付き合いで大変苦労する方が非常に多く見受けられます。
その中でも恋愛依存症という症状に苦しむ方は、傷つき体験だけではなく
母親との愛着問題が深く影響しているとも言われていますから
「普通の家庭に育った」「愛情はもらってた」という方でも
赤ちゃんの頃の母親とのスキンシップ不足や基本的信頼感を上手に築けなかった事も恋愛依存症の原因になります。
よくカウンセリングの中で
「自分のインナーチャイルドはどれくらい傷ついているのか?」
というご質問を受けることがありますが、分かりやすく簡単に言ってしまうと
恋愛依存症の症状による苦しさが強く出てくる方ほど、その傷は深かったり、子供の頃に出来上がった不足感は多いと思っていいと思います。
インナーチャイルドが抱える傷が深かったり、子供の頃の不足感が多く残っていれば、生きづらさや様々な問題は、それだけ起こりやすい状態とも言えるわけです。
これは長年恋愛依存症に苦しむ方のお話を聞いてきたから言えることですが
心の中にある苦しさを長期的に抱えてしまうと、問題が複雑になっていったり
いざ解決しようにも回復に時間がかかることもありますので
恋愛依存症の苦しさに悩まれる状態にある方がまず気づくべきことは
自分の中の「インナーチャイルドの存在」を感じてみることが大切です。
何故、インナーチャイルドを癒すことが、
恋愛依存症の症状に苦しむ方には特に効果的なのか?
すごく簡潔に言ってしまうと
恋愛依存症の人は恋愛相手対して
「母親のような、無条件で確実な愛情」を求める特徴を持ちますが
その欲求は子供の頃に親から満たせなかったこそ、出来上がった思いでもあるからです。
でも本来は、
恋愛相手は親ではなく他人ですから
”自分が求める親のような愛情” を与えることはほぼ不可能な存在のはずなんですよね。
頭ではそれが分かっていても、
心が求めずにはいられない状態になるということは
心の中に、自分ではなかなか自覚することができない不足感を抱えている事が考えられます。
例えばですが、通常の食事なら
(デザートの別腹は置いといて…)
お腹いっぱいの状態で
「この後すぐ何食べよう」って、
食べ物のことって考えないですよね^^;
その感覚と似ていて、心の中が適度に愛情で満たされている状態なら
「もっと私を愛して欲しい」
「私が求める方法で愛して欲しい」とまでは、
求めなくても済むはずなんです。
心の中に満たされない何かを抱えていると、
自分以外の「他者」から、それも親のように近い存在である恋愛相手から
常に自分を受け入れて認めてくれる存在
自分の低い自尊心や自己否定感による苦痛を和らげてくれてる存在を求めていきます。
この思いを満たすのにとても効果的で、有効に働く手法の一つがインナーチャイルドを癒すことになります。
それは実体験であったり、実際のカウンセリングでも効果を実感されている方が多くいらっしゃるので、言える話ではあります。
例えば「あなたの彼氏が、好きな人が、ご主人が自分の元からいなくなると想像(イメージ)すると、どんな気持ちになりますか?
ただの想像なのに、胸の辺りが締め付けられる感覚があったり
子供が母親を恋しがるような感じがあったり
何とも言えない恐怖に支配される感じを受けたことはありませんか。
実際に「たった今」起きたことではないのに、恐怖や不安感が心の底から湧き上がるのは、現在の大人のあなたの感覚ではなく、過去に感じたインナーチャイルドの叫びなのかもしれません。
この思いは恋愛相手では解消できないから繰り返していきますが、大人のあなたがインナーチャイルドを癒していくことで「依存感情」は和らげることは可能なのです。
でもこれは、スピリチュアル用語と認識されてる方も実際いるようですが
心理学では潜在意識の中の感情を擬人化した表現になります。
子供の自分というのは、誰の中にも存在していると言われていますから、恋愛依存症になる人は、このネガテイブな記憶の傷が人よりも深いのかもしれませんね。
インナーチャイルドが抱える傷には、様々な「傷」がありますが
例えば
・傷ついた経験(否定的態度や言動、トラウマになる出来事、無視やため息等)
・我慢などで抑圧された感情
・満たせなかった感情
・見捨てられる不安
・親の都合で干渉される不満
・ありのままの自分を受け入れてもらえてる実感が無い
など、主にこのような感情体験のことを指します。
このような親からの利己的な関わり方や、
自分の存在を否定されるような経験は、繰り返し起こるほど傷は深くなりますし
その傷や悲しにみ対するケアがなければ、
心の傷や不足感を抱えたまま大人に成長していくことになります。
それが大人になってからの人間関係や恋愛では大きく分けると・・・
もう二度と傷付かなくて済むようにと、
他人と距離を置く付き合い方「しか」できない状態になったり
自分の心の奥深くにある傷を見なくて済むようにと、
誰かや何かに依存するしかない状態や
人に承認されないと自分を保てず、
共依存的な生き方へと繋がっていきます。
依存問題や依存行動とは例えば・・・
■恋愛依存症(見捨てられ不安、自尊心の低下、被害妄想、ネガティブ思考…etc)
■共依存症(自尊心の低下、白黒思考、自己犠牲、感情の抑圧、他人の感情で生きる、人に従う生き方…etc)
■回避依存症(人と親密になる恐怖、幸せになる恐怖、相手の立場に立てない、低い自尊心を守るための高いプライド、支配的な態度…etc)
■癇癪(かんしゃく)
■起こった物事に対しての過剰反応
■結婚問題(母親より幸せになる恐れ、幸せ恐怖)
■親子関係の問題(母娘の癒着・不仲・絶縁・親と子の逆転…etc)
■その他依存症(買い物依存・食べ物依存・アルコール依存・ギャンブル依存・性依存…etc)
■人間関係の破綻や苦痛
■自傷行為
◉病的レベルになると他者に向けた犯罪行為
こうして自分で自分の人生を汚染し、生きづらさを感じることになります。
「生きづらくて困ってます」という状態の方は、心の赤信号とも受け取れますから
心の修復に時間がかかる前に、早めのカウンセリングや自分をケアする時間をつくることをお勧めします。
インナーチャイルドからの発信と思われる恋愛面での考えと行動パターンをご紹介したいと思います。
■恋愛相手に対して親のような無条件な愛情の要求
■相手の愛情を引き出すための、歪んだ愛情の確認行動(怒りの爆弾、拗ねる、浮気を匂わす脅し、別れや死を使った脅しなど…)を繰り返す
■好きなら私を気にかけて当然、恋愛相手に対して「◯◯して当たり前」の枠がある
■自分以外の誰かを優先している事が許せない、理解できない
■自分の思う通りの愛情表現以外は受け入れ難い
■自分ではなく、相手に変わってほしい思いが強い
■べったりとした、一心同体のような関係性を求める
■甘えたいけど、甘え方が分からなくて、甘える代わりにわがままを言って相手を困らせようとする
■恋愛相手がいないと生きていけない思いがある(見捨てられ不安)
■自分の寂しさは恋愛相手が埋めるもの、または埋められないものと思っている
■人と親身になるこわさを感じている
■相手の顔色、嫌われるこわさから自分らしく振る舞えない
■自分を犠牲にしてまでも、相手に合わせたり尽くそうとする
改めて恋愛をしている時の自分を客観的に思い出すと、まるで小さな子供の要求のように見えるところはありませんか?
もしくは子供の頃の役割(良い子、我慢、相手が喜ぶ自分、強がる自分、子供なのに大人らしく振舞う)を現在の恋愛相手の前でも演じていませんか?
過去の自分と共通する「自分」こそが、インナーチャイルドの感情要求であり、幼少期から引きずっている役割なのかもしれません。
これらの要求をパートナーや恋愛相手に求めても埋まらない、満足しきれないとか
恋愛相手を変えたとしても同じ思いを繰り返すとしたら
子供時代に親に求める感情や、分かって欲しかった要求を現在の恋愛相手に「投影」しているという事が言えると思います。
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※心理学的な「投影」の意味とは?
彼氏やご主人(恋愛対象者)を、親に置き換えて求めている状態
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私たち誰もが意識の中では、恋愛相手を親に重ねて見ているとは思ってないですし、
実感にカウンセリングでも衝撃を受ける方のほうが多いですが
現実の恋愛では、自分にとって距離の近い存在、気を許せる存在に対し
"子供の自分" "都合のいい良い人" が強く出てしまう方というのは
幼少期の頃の未解決な感情や問題が残っているからこそ過去の「再体験」のような現実になっているのかもしれません。
無意識の中では、今後こそは、自分にとって大切な存在から愛されたい、認められたいと求めても
過去の問題は、本当の意味では親代わりからは満たせないので依存や共依存になっていく循環から抜け出せなくなっていきます。
依存状態=インナーチャイルドが優位な状態ですので、依存を弱めていくには、自分の中のインナーチャイルドの存在に気づき、傷ついたチャイルドを癒していくことなのです。
インナーチャイルドを癒すとは、今の大人の自分が傷ついた子供の自分の存在を認め、受け容れ愛することです。
その第一段階として、自分の中の子供の自分の存在に気づくことから始まります。
自分の中の感情に意識を向けていくと、今まで気づかなかった感情たちの存在に気づいていきます。
彼氏に気づいてもらうのでは無く「自分」が気づいてあげるのです。
子供の自分が欲しい愛し方をしてあげられるのは、
彼氏でもご主人でもなく、
あなたにしかできないからです。
あなたが本当の意味で自分の心の中の小さな存在に気づかない限り、依存的な恋愛や人間関係からの脱却は難しいと言えます。
自分の中にいる <傷ついた小さな自分> と思うと、何歳くらいの自分がイメージとして出てきますか?どんな表情をしていますか?どんな気持ちを感じていますか?
まずは心で感じてみてください。
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